三原山登ってきた (後)

f:id:OyamaShiki:20180811214804j:plain             日没前の三原山
大島一人旅、三原山登山記の後編。

もやの中を登山道に従って歩いていった。すると、突然櫛形山のほうへかかるもやが風に流されて晴れていった。せっかくなので、そっちの稜線まで出てみることにした。
もちろんこれは登山道を外れることになるので、前編で触れたように足場を確認しながら慎重にあの黒い岩石群を抜けて行かなくてはならない。

 

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               登山道(左端)と周辺の岩石群。
岩石群を抜けるといよいよ裏砂漠らしい景色が現れる。まだ踏み固められていない、黒くて粗い地面がむき出しになっていた。

 

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f:id:OyamaShiki:20180930230916j:plain櫛形山の稜線に出る。風を受けながらもやの流れを観察していると、もやの中から突然自動車が現れた。車道なんて無いはずなのに、砂塵を巻き上げながら麓の方へ爆走していった。車が視界から消えた後、舞い上がった砂塵はもやに飲み込まれていって、そのうち区別がつかなくなった。

 

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登山道に戻ると、いよいよ三原山が眼前に見えてくる。 ここからでも大きく開いた火口が確認できる。

 

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 だいぶ登ったところでの火口部のクローズアップ。登頂というよりは、この火口部を一周することになる。
活火山と聞いていたのでもっと荒涼とした印象を受けるものかと思いきや、実際には火口まで植物に覆われた穏やかな山だった。

 

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 火口をぐるっと一周して、火口観測台のベンチで昼食を摂った。コッヘルとバーナーを使ってお湯を沸かしていると、自分の来た方からトレイルランニングをしているであろう男性が駆けてきた。すれ違うときにお互いに短く「こんにちは」と挨拶をし、会釈をした。
 実はこの登山中、この男性ともう一人、中腹で下山中の男性の計二人としか出会わなかった。風景を独り占めできた反面、孤独感とも自然への畏怖とも違う、「ここにいるのは自分だけ」という事実にふと気づき怖気付いてしまうときもあった。

 

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昼食の後、下山を始める。いつのまにかもやが消えて太陽が再び顔を見せていた。下山時はまた裏砂漠ルートではなく、また別の『遊歩道ルート』を使うことにした。
……この選択は個人的に失敗だったと思う。ひたすらコンクリートで舗装された『遊歩道』を歩くだけで、中腹からは両脇に身長よりも高く草木が茂っているせいで何も見えなくなった。太陽が出てきたこととその放射熱もあいまってあまり面白くない帰り道になってしまった。

 

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下山後の三原山。晴れていると雰囲気が全く違う。
バスの時間の関係でさらに数キロ歩いたりしたのはまた別のお話かもしれない。

 

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そのうちフィルムで撮ったぶんも書きます。多分。